三菱自動車が7年ぶりに復活させた新型「パジェロ」を12月17日に発売します。価格は619万3000円からで、すでに約5500台の予約を獲得。ラダーフレームや2.4Lディーゼルなど注目の仕様と走りを紹介します。
日本のクロスカントリーSUVブームを牽引した伝説の名車が、ついに日本の公道へ帰ってきます。三菱自動車は、国内市場で7年ぶりの復活となる通算5代目の新型「パジェロ」を発表し、2026年12月17日より正式販売をスタートさせます。昨今のアウトドアブームや本格悪路走破車への再評価が追い風となり、発売前の予約段階ですでに年度目標を超える約5500台もの注文が殺到しているというから驚きです。単なる懐古主義ではなく、新世代のフラッグシップとして劇的な進化を遂げた新型パジェロの全貌に迫ります。
ここがポイント
・国内7年ぶりの復活となる通算5代目パジェロは、2026年12月17日に正式発売され、予約段階で約5500台を受注する大ヒットを記録中
・堅牢なラダーフレーム構造を復活させ、最高出力204PS・最大トルク480Nmを発揮する2.4Lクリーンディーゼルターボと8速ATを全車に搭載
・伝統の「スーパーセレクト4WD-II」と四輪制御技術「S-AWC」を統合し、オンロードの安定性と極限の悪路走破性を高次元で両立
・全車3列シート7人乗り仕様で、グレードはアウトドア志向から都会的な最上級仕様まで計4種類(619万3000円〜795万800円)を展開
伝統のラダーフレーム回帰とフラッグシップの風格

1982年に誕生した初代パジェロは、それまで「作業車」というイメージが強かった四輪駆動車に、乗用車のような快適性と洗練されたスタイルを持ち込み、市場の概念を根底から覆した歴史的モデルです。近年は都会派のクロスオーバーSUVに押されて一度は国内販売を終了しましたが、トヨタ「ランドクルーザー」シリーズやスズキ「ジムニー」など、本物の悪路走破性を持つクルマへの渇望が高まるなか、三菱のブランドを象徴する頂点モデルとして再び表舞台に立ちました。
今回の5代目モデルにおける最大のトピックは、車体の骨格に本格的な「ラダーフレーム(梯子型のフレームにボディを載せる構造)」を再び採用したことです。先代モデルなどでは軽量化やオンロード性能を意識したビルトインフレーム構造が採られていましたが、新型では高張力鋼板の拡大採用や断面構造の見直しによって、重量増を抑えながらも圧倒的な剛性を手に入れました。ここでひとつ豆知識をご紹介しましょう。近年の自動車業界では電動化や燃費規制の影響でモノコック(車体とフレームが一体化した構造)のSUVが主流ですが、あえて今ラダーフレームを新開発するのは、極限状態での信頼性と、ボディマウントを介すことで路面からの不快な微振動を遮断する「悪路快適性」を突き詰めるためなのです。これはピックアップトラックの「トライトン」で培った最新技術を昇華させた、三菱ならではの贅沢なアプローチと言えます。

エクステリアは、水平基調で塊感のあるスクエアなフォルムが特徴です。Cピラー(後部座席横の柱)には初代モデルのキャンバストップ車が備えていたロールバーを彷彿とさせるデザインを取り入れ、リアゲート中央には歴代モデルの代名詞であった背面スペアタイヤをモチーフにした六角形の造形があしらわれています。ボディサイズは全長4920mm×全幅1925mm×全高1910mm(一部グレードは1900mm)と堂々たる体躯を誇りますが、運転席の着座位置を高めつつインパネを低く抑えたことで、見下ろすような広い視界を確保。ボンネットの端が掴みやすい形状になっているため、数値から想像するよりもはるかに車両感覚が掴みやすく、日本の狭い道路や駐車場でも持て余すことは少ないはずです。
3列7人乗りの上質な室内空間と最新デジタル装備

インテリアに目を向けると、オフロード走行時に車体の傾きを直感的に把握できるよう、水平基調のダッシュボードが採用されています。その上には2枚の大型画面を繋げた「モノリスディスプレイ」が鎮座し、かつてパジェロの象徴だった「3連メーター」を現代のデジタルグラフィックで再現しているのも、往年のファンにはたまらない演出でしょう。

シートレイアウトは全車とも3列シートの7人乗り仕様です。2列目シートには前後150mmのロングスライド機構と、3列目への乗り降りを容易にするタンブル(折りたたみ)機構を搭載。3列目シートも単なる補助席ではなく、大人が座っても頭上空間にゆとりがあり、2列目シートの下につま先が収まるよう工夫されています。また、ラダーフレーム車は床が高くなりがちですが、ステップとアシストグリップの配置が絶妙に計算されており、小柄な人でもスムーズに乗降できる配慮がなされています。

さらに、フラッグシップにふさわしい静粛性と快適性も追求されました。フロントガラスだけでなく前後のドアガラスにも遮音性の高いガラスを採用し、時速100kmで高速道路を巡航していても、1列目と3列目の乗員が普通の声量で会話できるほどの静かさを実現しています。最上級グレードの「SUPER EXCEED(スーパーエクシード)」には、日本の伝統工芸「木目込み」からヒントを得た縫製技術や、汚れが目立ちにくいキャメル&ブラックのセミアニリン本革シート、さらにはヤマハと共同開発した12スピーカーの最高峰オーディオシステムまで装備され、高級サルーン顔負けのおもてなし空間に仕立てられています。
4.5Lガソリン車並みのトルクと「S-AWC」が織りなす異次元の走り

新型パジェロの心臓部には、全車共通で「4N16」型と呼ばれる2.4リッター直列4気筒クリーンディーゼルターボエンジンが搭載されます。最高出力は204PS(150kW)/3500rpm、最大トルクは実に480Nm(48.9kgfm)を1750〜2500rpmという極めて低い回転域で発生させます。このトルク数値は、自然吸気のガソリンエンジンに換算すると約4.5リッタークラスに匹敵する力強さです。
最上級グレードの車両重量は2460kgに達しますが、この分厚い低速トルクと、ギア比が細かく設定された8速ATの組み合わせにより、アクセルを軽く踏み込むだけで巨体がスッと前に出る頼もしい加速を見せます。かつての3.2リッターディーゼルモデルで見られたような特有のガラガラとしたノイズや振動は見事に抑え込まれ、フル加速時には4000回転付近までガソリンエンジンのように滑らかに吹け上がるのも印象的です。なお、これだけの巨体とパワーを持ちながら、WLTCモード燃費は12.1km/Lという優秀な数値をマークしており、経済性の高さも大きな魅力となっています。

足まわりは、フロントにダブルウィッシュボーン式、リアには新開発の5リンク式リジッド(車軸式)サスペンションを採用。最低地上高は230mm(20インチタイヤ装着車)を確保し、アプローチアングル30.4度などトップクラスの悪路走破スペックを誇ります。駆動システムには、後輪駆動の「2H」、フルタイム4WDの「4H」、センターデフロックの「4HLc」、さらにローギアード化する「4LLc」の4つを切り替えられる伝統の「スーパーセレクト4WD-II」を搭載。ここに三菱のお家芸である車両運動統合制御システム「S-AWC」が組み合わされ、「NORMAL」や「MUD(泥)」「ROCK(岩場)」など7つのドライブモードによって、あらゆる路面を制覇します。
サーキット試乗で証明されたオンロードでの高い限界性能

特筆すべきは、舗装路での走行安定性です。発売前にクローズドのサーキットコースで行われた試乗テストでは、その実力が遺憾なく発揮されました。車高が高く、リアに悪路重視の車軸式サスペンションを持つクルマは、通常であればコーナーで挙動が乱れやすいものです。しかし新型パジェロは、ドライブモードをフルタイム4WDの「4H」にセットしておけば、コーナーの途中で危険回避のために急激にハンドルを切り足しながらアクセルを戻すような過激な操作をしても、後輪がしっかりと路面を捉え続け、安定した姿勢を保ちます。
これは、センターデフの働きに加え、左右の車輪にブレーキをかけて曲がりやすさをアシストする「AYC(アクティブヨーコントロール)」などの電子制御が緻密に連携しているためです。試乗でセンターデフを直結にする「4HLc」に入れて同じ操作を試すと挙動の乱れが大きくなったことからも、舗装路における「4H」モードとS-AWCの制御がいかに優秀であるかが証明されています。また、三菱初採用となる「緊急時車線維持支援機能(ELA)」や、前席の乗員同士の衝突を防ぐ「SRSセンターエアバッグ」を含む8つのエアバッグ、高速道路での運転を支援する「マイパイロット」など、最新の安全装備も抜かりなく網羅されています。
グレード構成と販売現場の最新動向は?

国内向けのグレード展開は、大きく2つのキャラクターに分かれた計4タイプが用意されています。タフなクロスカントリーらしさを前面に出した18インチタイヤ装着の「GLS」(619万3000円)および「GSR」(676万5000円)。そして、20インチタイヤを履き、都会的でラグジュアリーな装いを極めた「EXCEED(エクシード)」(693万円)および最上級の「SUPER EXCEED(スーパーエクシード)」(795万800円)です。フロントグリルも、スーパーエクシード専用の機能美あふれるハニカムタイプと、他グレードに採用される精巧な横桟タイプの2種類(最上級グレードでもオプションで横桟を選択可能)が用意され、個性を演出しています。
販売店からの情報によると、2026年10月1日から先行して予約受注がスタートしたのは「GSR」と「SUPER EXCEED」の2グレードで、10月中旬時点で契約した場合の納期はおよそ4〜5か月待ちとなっています。残る「GLS」と「EXCEED」については、正式発売日である12月17日から受注が開始されるという変則的なスケジュールが組まれています。すでに約5500台という大量のバックオーダーを抱えているため、今後さらに納期が延びる可能性も否定できません。
MotorG編集部の注目ポイント
新型パジェロの価格帯(約619万〜795万円)を見て、「高くなったな」と感じた方もいるかもしれません。しかし、ライバル筆頭であるトヨタ「ランドクルーザー250」(約520万〜735万円)や兄貴分の「ランドクルーザー300」(約510万〜800万円)が、現在も受注停止や数年単位の長い納車待ちで実質的に「買えない」状況が続いていることを考えれば、新型パジェロの市場における存在価値は計り知れません。特にランクル250のディーゼルモデル(2.8L・204PS/500Nm)と比較しても、新型パジェロの2.4Lディーゼル(2.8L並みの204PS/480Nm)はスペック的に真っ向から渡り合える実力を持っており、しかもパジェロには「舗装路でも使える本格フルタイム4WD(スーパーセレクト4WD-II)」と「S-AWC」という独自の武器があります。
もし購入を検討されているのであれば、予算が許す限り最上級の「SUPER EXCEED」か、コストパフォーマンスに優れアウトドアギア感の強い「GSR」を狙うのがおすすめです。特に現在は先行受注分の納期が4〜5か月と、このクラスの新型人気SUVとしては奇跡的に早いタイミングで手に入るチャンスが残されています。12月17日の発売日になると全国のディーラーに試乗車が配備され、同時に「GLS」「EXCEED」の受注も解禁されて注文が一気に集中することが予想されます。ライバル車からの乗り換え組が殺到する前に、まずは今週末にでもお近くの三菱ディーラーへ足を運び、見積もりと納期確認をしておくことを強くおすすめします。
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