三菱自動車が新型パジェロを世界初公開しました。強靭なラダーフレームに2.4Lディーゼルと新世代S-AWCを組み合わせ、クラフトマンシップ溢れる上質さを融合した本格フラッグシップSUVです。
世界中のオフロードファンが待ち望んでいた瞬間がついに訪れました。三菱自動車の象徴であり、過酷なダカールラリーで通算12勝を挙げた伝説の名車「パジェロ」が、新時代のフラッグシップSUVとして劇的な進化を遂げてワールドプレミアを果たしました。単なるネームバリューの復活にとどまらず、伝統の悪路走破性と現代のプレミアムSUVに求められる極上の快適性・質感を高次元で融合させた一台となっています。世界中で本格クロカン四駆の需要が再燃する中、トヨタ・ランドクルーザーの強力なライバルとして名乗りを上げた新型パジェロの全貌を、メカニズムから市場戦略まで余すところなく解き明かします。
ここがポイント
・ 新開発ラダーフレームと2.4Lクリーンディーゼルに新開発8速ATを組み合わせ、最高出力150kW(201PS)・最大トルク480Nmを発揮
・ 卓越した悪路走破性を誇る「スーパーセレクト4WD-II」に「S-AWC」を融合し、7つのドライブモードで意のままの操縦性を実現
・ 日本の伝統技法「木目込み」に着想を得たインテリアやデジタル進化した伝統の3連メーターなど、フラッグシップにふさわしい上質な仕立て
・ 新型を頂点に今後コンパクト・スモールSUVを含む「パジェロシリーズ」を展開し、グローバル市場でのブランド価値を再構築
本格クロカン骨格と最新四輪制御の融合

新型パジェロの根幹を支えるのは、歴代モデルが世界中の荒野で鍛え上げてきたDNAを色濃く受け継ぐ、新設計の高剛性ラダーフレーム(ボディ・オン・フレーム構造)です。近年のクロスオーバーSUVが乗用車ベースのモノコック構造を採用する中、あえて過酷な路面からの強大な入力に耐えうるフレーム構造を維持しました。高張力鋼板の適用拡大と断面幅の見直しにより、軽量化とねじり剛性・曲げ剛性の大幅な向上を両立しています。
足まわりには、フロントにダブルウィッシュボーン式、リヤには新開発の5リンク式リジッドサスペンションを採用しました。ロングストロークを確保したサスペンションとしなやかな減衰特性により、オフロードでの優れた路面追従性を確保しながら、オンロードでのフラットで引き締まった乗り味を実現しています。ボディサイズは全長4920mm×全幅1925mm×全高1910mm、ホイールベースは2870mm。最低地上高は230mmを確保し、アプローチアングル30.4度、ランプブレークオーバーアングル22.6度、デパーチャーアングル25.8度(20インチ装着車)という本格クロカンにふさわしい対地障害角を誇ります。

心臓部には、ワイドレンジのシングルVGターボを備えた専用チューニングの2.4リッター直列4気筒クリーンディーゼルエンジンを搭載。最高出力150kW(201PS)/3500rpm、最大トルク480Nm/1750-2500rpmという極めて太い低回転トルクを発生します。これに組み合わされる新開発のスポーツモード付き8速オートマチックトランスミッションが、滑らかな変速フィールと力強い加速をシームレスに引き出します。
そして、三菱の真骨頂といえるのが四輪統合制御技術です。走行中に後輪駆動から直結4WD、さらにローギヤまで任意で切り替えられる「スーパーセレクト4WD-II(SS4-II)」に加え、ブレーキ制御によって左右輪間のトルクをコントロールするAYC(アクティブ・ヨー・コントロール)などを統合した「S-AWC(スーパーオールホイールコントロール)」を搭載しました。路面状況に応じて「NORMAL」「ECO」「GRAVEL」「SNOW」「MUD」「SAND」「ROCK」の7つのモードを選択でき、岩場から雪道、砂漠、高速道路に至るまで、ドライバーに不安を感じさせない圧倒的な接地感とスタビリティを提供します。
知っておきたい豆知識:ランエボの血統が息づくAYC

ここで注目したいのが、旋回性能を高める「AYC」の存在です。もともと世界ラリー選手権(WRC)を制覇するためにランサーエボリューションへ投入されたこの技術は、現在ではパジェロのような重量級本格SUVの運動性能と安全性を飛躍的に高める武器へと進化しました。曲がりにくいとされる重量級の四駆でありながら、コーナーでドライバーの狙い通りのラインを正確にトレースできる秘密は、三菱が誇るモータースポーツの歴史にあります。
「道具」から「プレミアム」へ昇華したデザインと空間

デザインコンセプトに「グランドカリスマ」を掲げたエクステリアは、初代モデルから連なるボクシーでスクエアなシルエットを現代的に再定義しています。

フロントフェイスには三菱のデザインアイコンである「ダイナミックシールド」を進化させて配置。日本のものづくりを象徴する横桟タイプと、機能美を際立たせるハニカムパターンの2種類のフロントグリルが用意されます。過酷な障害物からランプを守る奥まった配置のフルLEDヘッドライトや、初代のロールバーを想起させる力強いCピラー、歴代の背面スペアタイヤをオマージュしたリヤゲートのヘキサゴン造形など、ファンを唸らせるヘリテージモチーフが随所に散りばめられています。なお、実際のスペアタイヤは床下へ格納され、優れた使い勝手と広いラゲッジ空間を両立させました。

キャビンに足を踏み入れると、従来の無骨な四駆というイメージを覆す上質な空間が広がります。水平基調で視界の広いインストルメントパネルには、京都の伝統工芸「木目込み技法」から着想を得て、熟練の職人が手作業で張り込んだソフトパッドを贅沢に採用。複雑な曲面に施された緻密な「S字ステッチ」や、セミアニリン本革を採用したプレミアムレザーシートが、高級ラウンジを思わせる心地よさを生み出しています。
コクピットには、大型のモノリスディスプレイとともに、歴代パジェロの象徴であった「3連メーター」が最新のデジタル表示となって復活しました。高度計や方位計、前後左右の車体傾斜角、AYCの作動状況などがグラフィカルに表示され、機能性と遊び心を両立しています。

さらに、全方位の遮音ガラス採用や徹底した気密性向上に加え、ヤマハと共同開発した12スピーカーの高級オーディオシステム「Dynamic Sound Yamaha Ultimate」を搭載。

3列シート・7人乗りの全席で、走行中でも声を張らずに自然な会話が楽しめる極上の静粛性と音響空間が作り込まれています。
世界戦略車としての役割とパジェロシリーズの未来
新型パジェロの登場は、単なる一車種のフルモデルチェンジにとどまりません。近年、東南アジアやオーストラリアといった三菱の牙城において、急速に台頭する新興メーカーのオフロード車や本格SUVとの競争が激化しています。その中で三菱は、ダカールラリー12勝という確固たるヘリテージと長年培った四輪制御技術を武器に、ブランド価値をより高い領域へと引き上げる戦略へと舵を切りました。
三菱の発表によると、新型パジェロは生産拠点であるタイを皮切りに、日本やオーストラリアへと順次投入され、最終的には世界約100カ国以上へ展開される計画です。さらに、このフラッグシップモデルを頂点として、今後はコンパクトSUVやスモールSUVを加えた「パジェロシリーズ」としてのファミリー展開が予告されています。これは、トヨタがランドクルーザーブランドを多角的に展開している手法にも通じるものであり、「パジェロ」という強いブランド資産を核とした三菱の本格的な逆襲がここから始まります。
MotorG編集部の注目ポイント
待望の復活を果たした新型パジェロは、往年のファンが求める「フレーム構造×ディーゼル×屈強な4WD」という本格派のツボを完璧に押さえつつ、現代の高級SUV市場でも十分に通用する洗練された内外装を手に入れました。特に、タフネス一辺倒ではなく「悪路での快適性」や「日本のクラフトマンシップ」を前面に打ち出してきた点は、ライバルであるランドクルーザー250などに対する明確なアドバンテージになり得ます。
ファミリーカーとしての快適性や日常の利便性を損なうことなく、週末には道なき道へ踏み出せる絶対的な安心感が欲しい――そんな本物志向のユーザーにとって、新型パジェロはこれ以上ない選択肢となるはずです。今後は日本国内での正式な価格発表やグレード展開、そして予告されたコンパクトモデルなどの続報から目が離せません。購入を検討している方は、ディーラーでの先行情報収集を早めにスタートすることをおすすめします。
コメント (0)
コメントするにはログインしてください。
まだコメントはありません。