レクサスはコンパクトSUV「LBX」を一部改良し発売しました。ドイツ・ニュルブルクリンクでの走行テストを経て足回りとボディ剛性を強化したほか、新色「ソウ」の追加や装備の標準化が行われています。
「小さな高級車」という新たなジャンルを切り拓き、世界中で大ヒットを記録しているレクサスのコンパクトSUV「LBX」が、さらなる進化を遂げました。2023年末のデビューから約3年、累計で約13万台(2026年8月末時点)を世界60以上の国と地域へ送り出してきた人気モデルが、2026年10月22日に一部改良を発表し、11月3日より販売を開始しています。今回の改良は、単なる装備の追加にとどまりません。なんと自動車開発の聖地とも言われるドイツの過酷なサーキット「ニュルブルクリンク」へ持ち込まれ、走りの質感を根底から鍛え直してきたというのです。都会派のコンパクトSUVがなぜサーキットで鍛えられたのか、その進化の全貌と隠された狙いに迫ります。
ここがポイント
・ドイツのニュルブルクリンクで徹底的な走り込みを実施し、シャシー性能を大幅にアップデート
・床下の補強材(センタークロスメンバー)の厚みを見直し、ボディ剛性と乗り心地のフラット感を向上
・カラーヘッドアップディスプレイとドライブレコーダーが全グレードで標準装備に
・青みがかった輝きを放つ新色「ソウ」を追加し、各グレードで選べるカラーバリエーションを拡大
・価格は445万円から593万円(税込)で、全5グレードに2WDとE-Fourを設定
なぜコンパクトSUVを「ニュル」で鍛えたのか?

今回の改良において最も注目すべきトピックは、走行性能の作り込みに対するレクサスの並々ならぬ執念です。LBXはこれまで、愛知県にあるトヨタの最新鋭開発拠点「Toyota Technical Center Shimoyama(TTC-S)」を中心に、基本となる操縦性や乗り心地を磨いてきました。しかし今回の改良では、そのTTC-Sが模範とした本家本元のコース、ドイツのニュルブルクリンクへと開発の舞台を移し、徹底的な実走行テストとチューニングを繰り返したのです。
ここでひとつ、クルマ好きなら「へぇ!」と思える豆知識をご紹介しましょう。ニュルブルクリンクといえば、最高速を競うスーパーカーやスポーツカーがタイムアタックを行う場所というイメージが強いかもしれません。しかし、実は世界中の高級車メーカーが「究極の乗り心地」を作るために訪れる場所でもあります。全長約20kmにおよぶコースは、激しい高低差やブラインドコーナーだけでなく、ジャンピングスポットや波打つような舗装、さらには継ぎ接ぎだらけの荒れた路面が連続します。つまり、一般道で起こり得るあらゆる悪条件が凝縮されているため、ここで「しなやかに路面を捉える足回り」を作ることができれば、世界中のどんな街角でも極上の乗り心地を提供できるというわけです。
レクサスの開発陣は、この過酷な環境下でLBXの車体構造から見直しました。具体的には、車体の床下中央を支える骨格部品(センタークロスメンバー)の鉄板の厚みを変更し、ボディ剛性を一段と引き上げています。土台となる車体がガッチリと引き締まったことで、サスペンションが設計通りに正確へ動くようになりました。
さらに、路面からの衝撃を吸収するショックアブソーバーについても、内部でオイルの流れを制御するバルブの特性を変更しています。これにより、荒れたアスファルトを通過する際でも車体の揺れがピタリと抑え込まれ、運転している人にはタイヤが地面に吸い付くような安心感を、助手席や後席の乗員には揺れの少ないフラットで快適な乗り心地をもたらします。

加えて、ハンドル操作をアシストする電動パワーステアリング(EPS)のプログラムも刷新されました。運転手の操作に対してより自然で遅れのない反応を返すように調整されており、狭い駐車場での取り回しの軽快さと、高速道路や山道でのどっしりとした直進安定性という、相反する要素を見事に両立させています。
装備の充実とカラー拡大で魅力を増したパッケージング

走りの進化と並んで見逃せないのが、日常の使い勝手を高める装備の標準化と、デザインの選択肢が広がった点です。まず機能面では、運転に必要な情報をフロントガラスに投影する「カラーヘッドアップディスプレイ(連動するステアリングスイッチ付き)」と、現代のドライブには欠かせない「ドライブレコーダー」が、なんと全車標準装備となりました。人気装備が全車に最初から備わることで、視線移動を減らす安全性の向上はもちろん、購入時の満足度も大きく引き上げられています。

外観のアップデートでは、新規開発されたボディカラー「ソウ」が全グレードに追加されました。このカラーは、光が当たるハイライト部分に美しいブルーのエフェクト(青みがかった反射)が浮かび上がる色合いとされています。コンパクトなボディにさりげない特別感と奥行きを与え、街中でもひと際目を引く存在感を放ちます。

また、ユーザーの好みに合わせて世界観を選べるグレード体系もさらに選びやすくなりました。LBXには、落ち着きのある「Relax」やシンプルで洗練された「Elegant」、スポーティな「Cool」やアクティブな印象の「Active」、そして内外装を自在にコーディネートできる最上級の「Bespoke Build」という5つのスタイルが用意されています。今回の改良から、「Relax」と「Elegant」ではすべての単色(モノトーン)カラーが選択可能となり、「Cool」と「Active」では屋根の色が異なるすべての2トーン(バイトーン)カラーとブラックマイカが選べるようになりました。「この内装が好きなのに、欲しい外装色が選べない」というこれまでの悩みが解消されたのは、購入検討者にとって非常に嬉しい変更点と言えるでしょう。

基本となるボディサイズは全長4190mm×全幅1825mm×全高1545mm、ホイールベース2580mmと、日本の都市部や立体駐車場でも扱いやすい絶妙なサイズ感を維持しています。心臓部には、最高出力91ps(67kW)・最大トルク120Nmを発生する1.5リッター直列3気筒エンジン(M15A-FXE型)に、最高出力94ps(69kW)・最大トルク185Nmのモーターを組み合わせたハイブリッドシステムを搭載。FFモデルの車重は1.3トン前後に収まり、燃料タンク容量は36L。WLTCモード燃費は「Relax」などのFFで27.7km/L(「Elegant」のFFは28.0km/L)という優れた数値を叩き出します。駆動方式は全グレードでFFと、後輪をモーターで駆動する4WDシステム「E-Four」から選択可能です。
改良モデルの税込価格は以下の通りです。
・Elegant:445万円(FF)/471万円(E-Four)
・Active:465万円(FF)/491万円(E-Four)
・Cool:482万円(FF)/508万円(E-Four)
・Relax:482万円(FF)/508万円(E-Four)
・Bespoke Build:567万円(FF)/593万円(E-Four)
MotorG編集部の注目ポイント
自動車業界全体を見渡すと、近年は大きなセダンや大型SUVから、運転しやすく環境性能に優れたコンパクトなモデルへ乗り換える「ダウンサイジング」の波が確実に広がっています。しかし、これまで大型の輸入車や高級車を乗り継いできた層にとって、一般的なコンパクトカーでは静粛性や乗り心地、内装の質感に物足りなさを感じてしまうのが実情でした。LBXはまさにその隙間を埋める存在として登場し、アウディ「Q2」やMINI「カントリーマン」といった欧州プレミアムコンパクト勢と真っ向から渡り合っています。今回の改良でニュルブルクリンク仕込みの足回りを手に入れたことは、走りに対する要求が厳しい欧州車ユーザーや、上位モデルからの乗り換え層をさらに強く惹きつける決定打になるはずです。
これからLBXの購入を検討している方にアドバイスをするなら、まずはエントリーモデルである「Elegant(445万円〜)」のコストパフォーマンスの高さに注目してほしいと思います。今回の改良で高価なヘッドアップディスプレイやドライブレコーダーが標準化されたうえに、選べるボディカラーも一気に増えたため、ベースグレードでも満足度は極めて高いはずです。一方で、新色「ソウ」とブラックルーフの組み合わせによるスタイリッシュな佇まいを狙うなら、「Cool」や「Active」が絶好の選択肢となります。外見からは分からない「板厚変更とショックアブソーバーの熟成」がもたらす上質な乗り味は、スペック表を眺めているだけでは決して伝わりません。ぜひ週末は近くのレクサス販売店へ足を運び、新しくなったLBXのステアリングを握って、その「対話できる走り」をご自身の体で確かめてみてください。
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