トヨタは2026年11月2日、クラウンエステートの一部改良モデルを発売しました。570万200円のHEV「ESTATE G」とPHEVの「ESTATE Z」(727万1000円)が追加されたほか、寒冷地仕様の全車標準化や音響性能の向上が図られています。
「クラウンエステートは魅力的だけど、スタート価格が635万円からでは少し手が出しにくい……」と感じていた方に朗報です。トヨタは2026年11月2日、新世代クラウンシリーズの第4弾である「クラウンエステート」の一部改良を発表し、同日より販売を開始しました。今回のアップデートでは、従来比で約65万円も価格を抑えたハイブリッド(HEV)のエントリーグレード「ESTATE G」と、プラグインハイブリッド(PHEV)の普及グレード「ESTATE Z」が新たに追加されています。単なる廉価版の追加にとどまらず、全車への寒冷地仕様の標準化やオーディオシステムの音響チューニング刷新など、シリーズ最後発の改良にふさわしい充実の内容となっています。新しくなったグレード構成の具体的な違いと、どのモデルが最もお買い得なのかを詳しく紐解いていきましょう。
ここがポイント
・570万200円からの新エントリーグレード「ESTATE G(HEV)」を追加し、従来モデルより約65万円の引き下げを実現
・システム最高出力306馬力を誇るPHEVモデルに中間グレード「ESTATE Z」(727万1000円)を新設定
・ウインドシールドデアイサーなどを含む「寒冷地仕様」を全グレードに標準装備化し、冬場の実用性を底上げ
・上位グレードには「デジタルキー」の標準化や「トヨタプレミアムサウンドシステム」の音響改良を実施
・新ボディカラー「ニュートラルブラック」や2トーンの「ブラック×スモーキーブルー」など内外装の選択肢を拡充
約65万円安くなった「ESTATE G」と新設「PHEV Z」の実力は?
2025年3月のデビュー以来、クラウンエステートはHEVの「Z」とPHEVの「RS」という2つの上位グレードのみで展開されてきました。2026年9月に先行して改良を受けたクロスオーバー、スポーツ、セダンに続き、今回ついにエステートも改良を受け、全4グレード体制へと進化しています。なお、駆動方式はすべてのグレードで電気式4WDの「E-Four」が採用されています。
まず注目したいのが、570万200円という戦略的な価格で登場したHEVの「ESTATE G」です。改良後の「ESTATE Z(HEV)」(640万5300円)と比べて約70万5000円、改良前のエントリー価格(635万円)と比べても約65万円安く設定されています。これだけ価格が下がると装備の簡略化が気になるところですが、実用面での満足度は驚くほど高く保たれています。
エクステリアでは、上位グレードが21インチの大口径タイヤ&ホイールを履くのに対し、「ESTATE G」はタイヤの厚みに余裕がある19インチ(225/55R19)の切削光輝+ブラック塗装アルミホイールを装着します。一方で、マニュアルレベリング機能付のBi-Beam LEDヘッドランプや、両手が塞がっていても開閉できるハンズフリーパワーバックドア(挟み込み防止・停止位置メモリー機能付)はしっかり標準装備されています。

インテリアに目を向けると、シート表皮は本革からブラックの合成皮革へ、ルームミラーはデジタル式から光学式の自動防眩インナーミラーへと変更され、スピーカー数は6個となります。しかし、前席シートヒーターやステアリングヒーター、パドルシフト付の本革巻きステアリング、コネクティッドナビ対応の12.3インチディスプレイオーディオは標準で備わっています。安全面では最新の「Toyota Safety Sense」を搭載しつつ、渋滞時支援の「アドバンストドライブ」やリモート機能付の「アドバンストパーク」、レーンチェンジアシスト(LCA)などの高度な支援機能を省くことで、コストダウンを図っています。

もうひとつの目玉が、727万1000円で新設されたPHEVの「ESTATE Z」です。最上級の「ESTATE RS」(815万7600円)よりも約88万7000円安く設定されており、エコカー減税やCEV補助金などを活用すれば、実質的な負担額をさらに抑えられる可能性があるのも魅力です(トヨタは、令和7年度補正予算に係るCEV補助金の申請受付が令和8年12月上旬~下旬頃に終了する見込みと案内しています)。システム最高出力225kW(306PS)を発揮する2.5リッターPHEVシステムを搭載し、WLTCモードで89kmのEV走行換算距離と20.0km/Lのハイブリッド燃費を両立しています。

「ESTATE Z(PHEV)」には、少ない電力で効率よく車内を暖めるヒートポンプシステム付の左右独立温度コントロールフルオートエアコン(前席集中モードのS-FLOW付)や、後席左右シートヒーター、バッテリーチャージモードを備えたEV/HVモード切替スイッチが標準装備されます。最上級「RS」との違いは、専用デザインのホイールや赤いブレーキキャリパー、そして地図情報と連携してサスペンションの減衰力を自動制御する「NAVI・AI-AVS」がRS専用となっている点です。走りの特別な演出よりも、日常のEV走行やアウトドアでの外部給電機能を重視する方にとって、非常にバランスの良い仕様と言えます。

全車寒冷地仕様が標準に!音響の進化と内外装の新カラー

今回の一部改良は、新グレードの追加だけにとどまりません。既存の「ESTATE Z(HEV)」と「ESTATE RS(PHEV)」も、改良前からの価格上昇を約5万5000円〜5万8000円(1%未満)に抑えつつ、装備の充実化が図られています。
全グレード共通の嬉しいニュースが、「寒冷地仕様」の標準装備化です。フロントガラスの凍結を防ぐウインドシールドデアイサーや、降雪時にミリ波レーダーの雪を溶かす融雪機能などが最初から全車に組み込まれました。全長4930mm×全幅1880mm×全高1625mmという堂々たるボディに広大な荷室を持つクラウンエステートは、ウインタースポーツや冬場の長距離旅行に出かけるユーザーも多いはずです。オプション選びで迷うことなく、すべてのオーナーが冬場の高い安全性を手に入れられるようになりました。
また、「ESTATE RS」と2つの「ESTATE Z」には、スマートフォンを携帯するだけでロック解除やシステム始動ができる「デジタルキー」が標準装備されました(利用にはT-Connect契約や専用アプリ等が必要)。
さらに車内の快適性を高めるアップデートとして、上位3グレード(RSおよびZ)に標準装備される10スピーカー/8chオーディオアンプの「トヨタプレミアムサウンドシステム」が改良されました。トヨタによると、今回の改良では楽器づくりで培われた「音の匠」たちの感性と技術を導入したといいます。今回の改良では車内の音響特性に合わせたチューニングをさらに突き詰め、楽器の音が立ち上がる瞬間から消えゆく余韻までの再現性を高めています。静粛性の高いハイブリッド/PHEVの車内が、より臨場感あふれるリスニング空間へと進化しました。

デザイン面では、新たなボディカラー「ニュートラルブラック」が全車に設定されました。メーカーオプションの2トーンカラーには、新たに「ブラック×スモーキーブルー」が登場しています。内装では、RSに雲柄をあしらった本革シートの新色「サドルタン[雲柄]」が追加されたほか、RSのステアリングはディンプル加工本革巻き(かがり縫いステッチ)に、シフトノブはピアノブラックオーナメント付のディンプル加工本革仕様へと加飾が変更されています。

なお、購入後のクルマを進化させる「TOYOTA UPGRADE FACTORY」からも、王冠ロゴ入りのヘッドレストやプレミアムシフトノブ、さらには既販車向けに改良版のトヨタプレミアムサウンドシステムを設定する「Premium Acoustic Package」が2026年度冬ごろに発売される予定です。すでに所有しているユーザーへのフォローが用意されているのも見逃せないポイントです。
MotorG編集部の注目ポイント
今回の改良で最も注目すべきは、クラウンエステートの市場における立ち位置が大きく広がったことです。これまで635万円スタートだった価格帯が570万円台まで下がったことで、同門の人気SUVである「ハリアー」の上位グレードや、マツダのフラッグシップSUV「CX-60」「CX-80」の上位モデル、さらにはレクサス「NX」あたりを検討している層にとって、極めて強力な対抗馬となります。特に新設された「ESTATE G」は、21インチから19インチへとインチダウンされていますが、これは決してネガティブな要素ばかりではありません。タイヤの扁平率が45%から55%になることでエアボリュームが増し、路面の凹凸を吸収しやすくなるため、クラウンらしい柔和な乗り心地やタイヤ交換時のランニングコストという面では、むしろGグレードに軍配が上がる場面も多いはずです。
これから購入を検討される方には、ご自身のライフスタイルに合わせた明確な選び方をおすすめします。街乗りや長距離の高速クルージングがメインで、コストパフォーマンスと乗り心地の良さを重視するなら、570万200円の「ESTATE G(HEV)」が間違いなくベストバイです。一方、自宅に充電環境があり、キャンプなどで大容量の外部給電機能を使い倒したいなら、補助金の活用も視野に入れて727万1000円の「ESTATE Z(PHEV)」を狙うのが賢い選択と言えるでしょう。後輪を操舵して小回りを助ける「ダイナミックリアステアリング(DRS)」や4WDの「E-Four」といった走りの核心部分はどのグレードでも共通です。まずは販売店で実車のサイズ感や、19インチと21インチの見た目の違いをチェックしてみてはいかがでしょうか。
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